なべこう( @fukujion)です。
人それぞれ、そのときのタイミングで「こんな本が読みたいんや!」っていう気分があると思います。
今回は、複雑で悲しい家族の関係を描いた物語を読みたいときはこれ!っていう本をご紹介します。
法月綸太郎『頼子のために』
前々から評判は聞いていて、読みたいリストに入れていたのですが、タイトルと表紙が興味をそそらず手をつけていませんでした。
ひょんなことがきっかけで手にとってみると、なんとも切なく、最後はゾッとする物語でした。
「頼子」が死んだ
物語は、この話の中心となる家族の一人娘、「頼子」が何者かに殺されたことから始まります。
娘を殺された父親が、その真相を独自に調査し、犯人を見つけて復讐を果たすまでの手記がまるまる第一章になっています。
このスタイルは湊かなえの『告白』のようでもあり、ぐっと引き込まれます。
探偵「法月綸太郎」
法月さんの作品は初めて読んだのですが、法月綸太郎自身が主人公として出てくるんですね。
法月綸太郎はその手記を読み、違和感を覚えます。それを独自の方法で調査していくのが話の大筋になります。
真相
最終章は法月綸太郎がたどり着いた真相を暴いていきます。
そこには、中心となる家族の不幸な事故から始まる、複雑な心情が隠されています。
事故により下半身不随になった妻、それを献身的に支える夫、その中でそだった一人娘頼子。 頼子はなぜ死ななければならなかったのか。
少しずつそれぞれの「思い」が露わになっていきます。
「あ、あっ、あーーー!」と思っている間に怒濤のクライマックスを迎えます。読み終えた後、何もない荒野にぽつんと1人置いていかれた、そんな感覚になりました。さーっと血の気が引くというか。
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ちょっと切なくダークですが、とある家族の複雑な関係を描いた作品を読みたい方はぜひどうぞ。
なべこう(@fukujion)でした。
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