ZZZblogをお楽しみの皆様、おはこんにちばんは! イロトリドリというブログの管理人、こっこ(@cocco00)です!
この度、ZZZblogの管理人なべこうさんと共同で【大人の読書感想文】(仮称「読書感想サークル」でしたが、検討の結果「大人の読書感想文」という名前になりました)という企画を立ち上げました。
月1くらいのペースで同じ本を読んで、その感想だったり書評を書いた記事を相手のブログに寄稿しよう、という企画です♪
企画の概要はこちらの記事をご覧ください。
新企画『読書感想サークル(仮)』を始めます!参加者ゆるぼ | イロトリドリ
ということで、第一回!
蘇部健一『運命しか信じない!』:連鎖する運命を描く恋愛小説
企画第一回の作品は蘇部健一の『運命しか信じない!』です。
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蘇部 健一 小学館 2014-03-06 売り上げランキング : 350406
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私が候補をいくつかピックアップしたなかから、なべこうさんが選んだ一冊!
蘇部健一さんについて
ミステリー好きな人はピンとくる作家さんでしょうか? そう、『六枚のとんかつ』の作者さんです。
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蘇部 健一 講談社 2002-01-16 売り上げランキング : 226972
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『六枚のとんかつ』は「空前絶後のアホ・バカトリックで話題」の、第3回メフィスト賞受賞作品。
私も読みましたが、評価はわかれるかもしれないけれど、とても楽しくて思わずニヤッと笑ってしまう作品です。 『運命しか信じない!』は、そんなユーモア溢れる作家さんの恋愛小説。 さて、いかに。
運命の連鎖!風が吹いて桶屋が儲かったよ!
△こちらが『運命しか信じない!』の表紙。
この言葉に惹かれました。
表紙の絵に意味が隠されている作品ってたまにありますね。パッと思いつくところだと樋口有介『ピース』です。
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樋口 有介 中央公論新社 2009-02 売り上げランキング : 337616
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△本作の目次です。 全6部からなる短編。最初と最後が同じタイトル、というところがポイントですね。
六篇の短編連作で綴るドラマチックなラブストーリー。仙波莉子と京川俊は、絶対に出逢うはずのない二人だった。しかし、ある朝、太一の猫、タマがミルクをこぼしたことをきっかけに、いくつもの偶然が積み重なり、二人は恋に落ちる(「もしタマがミルクをこぼさなかったら…」)。風の強い日に、パンティが向かいのベランダに飛んでいったことが縁で、藍川奈都は入江敦広と出逢うことに(「パンティは風に乗って―」)。運命の恋を信じたくなる恋物語が満載。全ての短編を読み終えた瞬間に気がつく衝撃の結末。
各ストーリーは『運命』というテーマに則った恋愛もの。
ひとくちに『運命』と言っても、運命的運命と、そうではない創作的運命があって、運命的運命だと思っていたものが実は創作的運命だったりする。
私個人としては『四月になれば、彼女は…』が好きですね。
少しやり過ぎ感はあるけれど
読んでみて素直な感想は、ちょっとやり過ぎ感はあるなという感じ。
『運命』をテーマにしているがゆえに、かなりの偶然が、それも畳み掛けるように連なる。 小説だから非現実的で構わないんだけど、「ご都合主義」的にも思えてしまったのは否めません。 「風が吹けば桶屋が儲かる」みたいな感じ。一見すると関係ないんだけれど、いろいろなことが連鎖して、結果、桶屋は儲かる。 本作における「風」が、『ミルクをこぼしたタマ』なわけですね。
でも、案外現実も自分の知らない裏側でいろんな偶然が起こっているのかもしれない。
『運命』と『偶然』の違いって何だと思いますか? 私は「言葉」だと思っています。
同じ現象をその人がどう捉え、どう名付けるかで、その現象は『運命』にも『偶然』にもなり得ます。
創作的運命であったとしても、それを結果的に当人が『運命』と捉えるのであれば、それは『運命』以外の何物でもないんだと思うんです。
文庫の帯に書かれた「表紙」の二人もまた、『運命』のもとにこうあったんだろうな。
表紙の意味は、本作を読んでご自身で確かめてみてくださいね♪
トリまとめ
- 蘇部健一『運命しか信じない!』
- 『運命』をテーマにした短編からなる小説
- 風が吹いて桶屋が儲かった
- 読了後に改めて表紙を見よう
ライトタッチで読みやすい小説ですので、読書初心者の方もとっつきやすいのでは?
ご興味持った方は是非読んでみて、そのうえでまたこの記事やなべこうさんの記事をチェックしてみてください。
それでは! イロトリドリのこっこ(@cocco00)でした!