限界集落(65歳以上が人口の半分を超えた集落)の温泉宿に流れ着いた元ゲームクリエイターのホームレスが、コスプレアイドルやオタクたちを巧みなトーク(口からでまかせ?)で動かし、つぶれかけた温泉宿を復活させようとする物語です。
前々から気になっていたものの、購入まで踏み切れずにいた本書。なんとKindleストアで電子版が100円になっていたので(1巻のみ)これは機会とばかりに購入しました。結論から言うと、思っていた以上の面白さでした。
限界集落を知る
あとがきにもあるように、この物語は作者の鈴木みそさん自身のご実家がいわゆる「限界集落」化している事実を基にスタートしています。そして、その若者のいなくなった限界集落に「派遣切り」等で職を失い、さまよっている人々をごっそり移動させたらどうなるか、というところからこのマンガが生まれたそうです。
だからなのか、この物語は架空のものではなく、とても現実味を帯びています。マンガなので、当然現実には起こりえないこと(都合よくネットアイドルがたどり着くなど)も多少はありますが、町おこしの参考書のように見ることもできます。
特に、限界集落まではいかないまでも、過疎化、人口流出が進みつつある地域に住んでいる身としては、人ごとではありません。また、限界集落とは縁遠い都会に住んでいる方々にも、こういうことが日本各地で起こっているという現実に気づいてもらういい機会になるのではないでしょうか。
役割分担
この第1巻のお話は、まず流れ着いたネットアイドルをうまく使い、探しにきたオタクたちから上手い具合にお金を吸い取る様が描かれています。でも別に誰かが損をするとかじゃなく、それぞれがそれなりに得をして進んでいきます。このへんが勉強になるところなんですよね。
あと、田舎町はどれだけいい温泉、観光地があったとしても人を呼び込めなければ意味がありません。その辺りも元ゲームクリエイターがうまい具合に役割分担させて、集団の力で乗り切ろうとします。ほんと、一人一人の力は小さくてもうまく合わされば大きな力になるんですね。
プロジェクトチームを組んで地元活性化をいつかしてみたいと考えている私にとっては、とても胸が熱くなる内容でした。マンガだしすらすら読めますしね。続きもおいおい読んでいきたいと思います。
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