育休男児

1年間育児休暇を取得した男の奮闘記。これからの働き方、DIY、ロードバイクなどの情報も。

安保関連法案とか徴兵制とか日本の行く末が気になる人におすすめの物語はこの本!

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なべこう(@fukujion)です。

集団的自衛権に関する法律の議論が世間では熱くなっており(少し収まってきた感はあるけど)、一部では「日本も徴兵制になるんではないか」という意見もちらほら見かけます。

個人的な意見はさておき、以前読んだことのある、とある小説を読み返してみました。すると、あまりにも今の議論とよく似た状況が描かれていてびっくりしました。こういうテーマに興味関心のある人は読んでみてはいかがでしょうか。

伊坂幸太郎『魔王』

その作品は、伊坂幸太郎の『魔王』です。

会社員の安藤は弟の潤也と2人で暮らしていた。自分が念じれば、それを相手が必ず口に出すことに偶然気がついた安藤は、その能力を携えて、1人の男に近づいていった。5年後の潤也の姿を描いた「呼吸」とともに綴られる、何気ない日常生活に流されることの危うさ。新たなる小説の可能性を追求した物語。

特殊な力「腹話術」

このも物語のキーワードは「腹話術」です。腹話術というと、警察官が交通安全の啓発で、人形を持って教えに来てくれるアレを思い出します。いや、いっこく堂の方が早いか。

主人公はとても内気でコミュ症。人形を介して腹話術でのみ人とコミュニケーションが取れる、という内容ではありません。この物語での「腹話術」は、生身の人間に対して行われるものです。対象の人物をじっと見つめ、自分の意識を相手の体に滑り込ませるようにする。頭の中で言葉を念じれば、対象の人物が全くその通りの言葉を発する、という能力です。

主人公の安藤は、冒頭でこの能力に気づきます。そして、その能力を使って、世の中の抗いようがないような「流れ」に対して、一人で立ち向かって行くというお話です。

強烈な指導者「犬養」

その安藤が立ち向かおうとしたのが、政治家の犬養です。小さな政党の党首として国政に参加した犬養ですが、なぜか妙に自信を持った態度、説得力のある言葉を備えています。出演したテレビ番組では「私たちに政治を任せてくれれば、5年で景気を回復させてみせる。5年で、老後の生活も保障しよう」と言ってのけます。さらには「もしできなかったら、私の首をはねればいい」とまで言ってしまう。

他にもズバズバ言いたいことを言う。それが国民に「犬養に首相をやらせれば何かやってくれそう」「国、変わっちゃうかも」という期待感を与えていきます。世の中は「犬養ムード」になっていきます。

それに対して「おかしいぞ」と思ったのが主人公。このままじゃ日本はファシズムに逆戻りしてしまうんじゃないかと思い始めます。でも世論はビバ犬養。大きな川の流れの中、たった一人でその流れに立ち向かおうとします。腹話術という能力を使って。

伊坂幸太郎は預言者か

物語の中での議論が、本当に最近騒がれている内容と酷似しています。でもこの作品が世に出たのは2005年。伊坂幸太郎は預言者かと思ってしまいましたね。

作者本人は巻末で政治的なメッセージを含んではいないと断っています。だから必ずしもこれが伊坂幸太郎自身の意見というわけではありません。ですが、参考文献にもあるように、憲法に関する議論を調べた上で書かれている物語なので、今の世の中と照らし合わせて読むことができます。物語としても楽しめる一方、憲法に関する議論にはどんなものがあるのか、ということも知ることができます。

「呼吸」

本書『魔王』は2つの物語で構成されています。安藤の弟、潤也を描いた「呼吸」です。実は彼にも兄ように不思議な力が備わっています。兄のことを尊敬している弟は、彼なりにその力を使って世の中に立ち向かっていきます。

これもこれでおもしろい。続編のモダンタイムスにもつながって行きますし、何より能力が羨ましい!

というわけで

政治的なお話が好きな方は読んでみてはいかがでしょうか。

以上、なべこう(@fukujion)がお送りしました!


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